ハムスターの水と病気
飲み水から異常を察知する
ハムスターを飼育する基本は、どのようなケージが必要か、どんなエサをあげればよいのかといったことに注意が向いてしまいがちですが、忘れてはいけないことは、飲み水に起因する健康状態の変化でしょう。
ここでは、ハムスターの飲み水からみた、病気などに関する留意点などを考えてみたいと思います。
ハムスターに与える水には、大きな意味があります。
それはハムスターが健康を維持するために必要な水分補給である点です。
ケージで飼育する場合が常識となった飼育環境は、自然と異なり、ハムスターに選択の余地がありません。
本来ならば、好きな時に好きなだけ、自分が飲みたいと思った水を飲めたハムスターは、その全てを飼い主に任せてしまうことになります。
飼い主の義務は、新鮮で清潔な水を十分に用意してあげ、水によるケージ環境の悪化にまで気を配ることが大切です。
ハムスターは本来研究目的で多数飼育されていた経緯があります。
その時、与えられた水は水道水そのままだったのですが、家庭で飼育するよりもかなり長生きする個体もいたそうです。
水の衛生という面では、カルキなどの危険性よりむしろ新鮮で細菌の少ない水の方がハムスターには合っているようです。
水の減り方がおかしい場合
また、毎日正しく水をあげるという行為は、定期的にハムスターの水まわりの変化のチェックの機会でもあります。
水の飲み方がおかしい、あまり水を飲んでいないようだ、あるいは水ばかり飲むようになったなどといったハムスターの変化も、毎日の水換え時において発見ができるものです。
水やりの給水ボトルは、水換え時によく点検しておきましょう。
ボトル内や飲み口はとても汚れやすいものです。
不衛生な水を飲むと、ハムスターはすぐ下痢をおこし、感染症にもかかりやすくなります。
衛生を保つためにも、給水ボトルはブラシなどでよく洗い、必要であれば熱湯消毒なども行いましょう。
プラスチックの飲み口は傷が入りやすく、ハムスターの口を傷つける場合もありますので、よく点検しておきたいものです。
水漏れなどが発生すると、ケージ内の湿度が高まり、乾燥環境を好むハムスターの体が湿ると皮膚病や皮膚温度の調節不良などがおこります。
水換えなどで故障が見つかった時にも、予備ボトルがあれば、すぐに取り替えることができます。
飲みかたから気づく病気の兆候
次にハムスターの水の飲み方なども注意しておきたいものです。
その中でも、多飲、多尿の傾向が観察されるようであれば、腎不全、膀胱疾患、血尿腎不全、急性蓄膿症などの兆候を疑うことができます。
膀胱関連の疾患はハムスターには比較的多い病気であり、食べ物の成分やストレスによる体力低下時に最初に現れやすい症状です。
ハムスターは砂漠などの乾燥環境に適応した水分代謝機能を持っているので、尿の水分を何度も利用します。
その結果尿の濃度が高くなり、尿石関係や感染症の確率が高い傾向にあります。
このような場合は特に十分な水を欠かさないようにします。
また、水を飲まなくなる場合には腹水、肝臓疾患、心筋症、心臓疾患などの疾患の場合が考えられます。